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事務系独身アラサーが親知らずを 抜く

事務系独身アラサーが親知らずを4本抜く話です。

親知らずと術後

「はい終わりましたよー。

 動けるよー。

 車いすに乗れるー?」

 

医師から

「動くことができる」

車いすに乗る」

という指令がきた。

 

ゆっくり体を起こして

足を地面に下ろし

真横にあった車いすにすとんと座った。

 

麻酔がかかる前の自分なら

いやこんなん歩いて帰れるし

とか言いそうだが

そんなことを言えという指令がこなかった。

 

麻酔が効果を発揮している状態では

誰かの指令に応えるだけの

ロボットような回路になっていた。

 

車いすを看護師さんが押して病室に向かう。

 

このときも外来の患者さんに見られていたが

「恥ずかしがる」という指令がこなかったので

何も感じなかった。

 

程なくして病室に戻った。

 

看護士さんに指令をもらった。

 

「ベッドに移ってください。」

 

ゆっくりと腰を上げてベッドに横になった。

看護師さんはまるでテレビ番組でカメラの配線を捌くカメラマン見習いのように

心電図や点滴の線を操るだけだった。

 

ちょろいん。

 

「口の中にガーゼがありますからね。

 飲み込まないようにゆっくり休んでください。

 2時間後くらいにまた来ますね。」

 

看護師さんたちはそう言って去り

最後の一人がカーテンを完全に閉めてくれた。

 

ベッドの上で頭が上がった体勢のまま横になっている。

 

口周りの感覚は相変わらずない。

 

心電図と点滴と酸素の音が聞こえる。