事務系独身アラサーが親知らずを 抜く

事務系独身アラサーが親知らずを4本抜く話です。

親知らずと処分

「あとこれも渡しておきますね。」

 

渡された封筒を見ると

紹介返答書と書いてあった。

 

「抜糸するときにかかりつけの歯医者さんにこれ見せてくださいね。

 これに糸の場所とか抜糸方法書いているので。」

 

はい。

 

「あと親知らずどうします?

 持って帰りますか?」

 

きたこれ。

 

ぶっちゃけいらないです。

 

「結構持って帰る人いるんですよ。」

 

まじかよ。

持って帰ってどうするんだよ。

 

「じゃあこっちで捨てといていいですか?」

 

はいぜひお願いします。

 

「分かりました。

 まだ会計の人来てないんですかね。

 会計の人が来て請求書もらったら帰っていいですからねー。」

 

親知らずを持って看護師は去って行った。

 

以前ホンマでっかTVか何かで

歯の周りにある組織を使って

意図せず無くなった歯の代わりに

前に抜いた歯を入れるみたいな話があったけど

そのために持って帰る人がいるんだろうか。

 

でもあれ冷凍保存しなきゃいけないって言ってたから

常温にさらしてた時点でアウトな気がする。

 

まあ想像できないような

抜いた歯の使い道があるんだろうと思いたい。

 

しかし充電について何も言われなかったな。

 

充電しても良かったんだろうな。

もっと早めに充電しとくんだった。

 

会計の人が来るまでツイッターを眺めていると

いかにも会計の人っぽい女性が現れた。

 

「退院おめでとうございます。」

 

はあありがとうございます。

一泊だけですけどね。

 

「これが請求書になります。

 これを持って会計受付で支払いをお願いします。

 ではお大事に。」

 

会計の人は颯爽と帰って行った。

 

 

親知らずと計画書

唯一処遇に困ったのは

抜いた親知らず達だ。

 

今まで普通にベッド横の机に置いてあったけど

これって持って帰るものなの?

置いてってもいいの?

 

持って帰っても腐っていくだけだろうし

正直いらないんだけど。

 

誰か看護師が来たら聞こう。

 

荷物をまとめても書類が来る気配がなかったので

暇つぶしをすることにしたのだが

暇をつぶすものがない。

 

なにより

スマホの充電がしたい。

 

実は入院した昨日の段階で

スマホの充電は50%を切っていた。

 

親に病室を知らせたり

ふとした合間にツイッターやゲームをしていたせいで

現時点での電池は5%ほどになって警告が出ていた。

 

充電したい。

コンセントの空きはベッド脇にパッと見2つある。

 

でもこれ勝手に使っていいのかな。

盗電したって言って賠償請求されないかな。

 

うーーーーーーん。

 

負けた。

充電器をコンセントにさして

スマホを充電することにした。

 

スマホ依存症というほどではないが

娯楽がない病室においてスマホは唯一に外界とをつなぐ手段である。

それが充電されると少し心の中も満たされる気がした。

 

決してスマホ依存症ではない。

 

そうこうしているうちに看護師がやってきた。

 

やっべ盗電怒られる?!

 

と思ったが看護師は淡々と話しかけてくる。

 

「これ退院後の療養計画書です。

 読んどいてくださいね。」

 

そういわれて書類を手渡された。

 

療養計画書には

・術後10~14日で抜歯をしてください

・かたいものは控えてください

・熱いお風呂や長風呂は避けましょう

・激しい運動は避けてください

・鼻を強くかまないでください

・異常がありましたら病院に必ず連絡してください

と書かれていた。

 

「あと渡してる薬は一つは毎食後に飲んで

 なくなったらそれで終わりです。

 痛み止めは痛くなったら飲んでいいですが

 必ず6時間以上間を開けて飲んでくださいね。

 イソジンも使い切ったら終了になります。」

 

 

親知らずと荷作り

「親知らずを全部抜いたんですよねー。」

 

医師は診察台を倒しながら状況を確認する。

口の中を慣れた様子で検診していく。

 

「うん血も出てないし腫れてもないから

 今日退院できますねー。」

 

なんだつまらん。

そんな予感はしていたけども。

 

「抜糸はかかりつけの歯医者さんで

 2週間後ぐらいにしてくださいねー。

 あとかたいもの食べないようにしてくださいねー。

 はいお疲れ様でしたーもういいですよー。」

 

診察台から降りて医師たちに感謝の意を述べ

診察室を後にした。

 

病室に戻ってベッドに座り一息ついた。

 

退院かー。

何事もない感じだったなー。

 

ぼーっとしながら時計を見ると

時間が8時半だった。

 

クリニカルパスを見ると

退院は10時ごろと書いてあった。

 

あと1時間半もあるけど何すんだろ。

 

そう思っていたら看護師が現れた。

 

「今日退院なんですよね。

 治療費は後日ご自宅に請求書送りますか?

 それとも今日払っていきますか?」

 

どれくらい治療費がかかるか分からなかったが

さっさと治療費を払っておきたかったので

今日支払ことにした。

 

「分かりました。

 じゃあ後で会計の人が請求書持ってくるので

 それまで待っててくださいね。

 あと退院後の諸注意が書いた紙も渡すので

 それができるまで待っててください。

 その2つをもらったら退院していただいていいですよ。」

 

承知して看護師は病室を後にした。

 

とりあえず書類が来るまで待つかーとも思ったが

そういえば着替えないといけないんだなと気付いたので

荷物をまとめることにした。

 

Tシャツとジャージから入院しに来た時の服に着替え

持ち物をトートバックに詰めていった。

 

紙コップなどのごみはビニール袋に入れて縛って

ナースステーションの近くにあったごみ箱に入れた。